消費生活用製品安全法:企業のリスク管理の基礎知識

消費生活用製品安全法について

2009年4月に改正法施行された「消費生活用製品安全法」は2000年以降の企業の製品リスクの縮図ともいえるでしょう。
消安法と略されることもある消費生活用製品安全法ですが、2007年5月の改正法の施行に続き、2009年4月にも再度、改正法が施行されることになりました。
この消安法の改正は、数年前に立て続けに起きたガス湯沸かし器や暖房器具による一酸化炭素中毒死事件やシュレッダーによる指切断など製品安全トラブルに起因するものです。
この法令での消費生活用製品とは、「主として一般消費者の生活の用に供される製品」と定義され、かなり広い分野の製品が対象となります。
対象製品は、別の法律(船舶安全法、食品衛生法、消防法、毒物及び劇物取締法、道路運送車両法、高圧ガス保安法、武器等製造法、薬事法など)で掲げられる製品を除くものとなります。
基本的には製品として販売購入されるものが対象となりますので、部品や原材料は対象となりません。ただし、部品自体が1つの製品として販売される場合は例外とされることもありえます。
また、この法律は国内で製造したものだけではなく海外から輸入した製品も対象となっています。

 

詳しくは
経済産業省 消費生活用製品安全法のページ

改正法施行への経緯

2006年に社会問題となった、ガス瞬間湯沸かし器による一酸化中毒死事件や、家庭用シュレッダーによる幼児指切断事件などを受け消費生活用製品安全法は改正されました。
これらは、製品を製造もしくは輸入を行った事業者が、消費者への製品事故の情報提供や注意喚起を怠り、行政への事故情報報告もされていないためのものでした。
当時は法的に製品事故情報の収集や公表については義務付けられていませんでした。
これら製品事故の多発、再発防止処置企業への行政と事業者の対応の遅れが指摘され2006年11月の臨時国会で改正法が審議・成立し、翌2007年5月14日に改正消安法が施行されました。

 

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製品事故情報報告・公表制度

製品事故情報報告・公表制度は、事故情報の迅速な収集と公表によって、その後の事故の再発防止につなげるためのものです。

 

「事故情報の収集と公表」
製品事故に関する情報を収集し、一般消費者へ適切に提供する。

 

@製造・輸入事業者の事故製品報告義務
事業者は重大製品事故が生じたことを知った場合、10日以内に経済産業大臣に報告する
A税財産行大臣が事故内容を公表
経済産業大臣は、事業者から報告を受けると、一般消費者へ迅速に公表する
B関連事業者(販売・修理・設置など)は製品事故情報を通知
小売販売・修理事業者、設置事業者は、重大製品事故が生じたこと知った場合、当該消費生活用製品の製造もしくは輸入事業者に通知する

 

「事故の再発防止対策」
製造・輸入事業者が消費生活用製品の回収処置を行う場合、関連事業者も協力するよう努めなければならない。

 

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企業の取り組み状況

企業内で消安法へ対応している部署は、官公庁への届出は品質関連に関わる部署、顧客への対応はカスタマーセンターなどです。
消安法は製造業だけを対象とした法律ではないため、「消費生活用製品」に関わる多くの業種が取組みを行っています。
経済産業省によるセミナーも日本各地で開催されており、今のところ大きな混乱もなく施行に備えているという状況のようです(2009年3月現在)。
ただ、2007年の改正法施行時には、大手商社でも関連部署への通達や勉強会をしており、輸入製品の製品事故報告義務はそれなりのインパクトがあったようです。
原材料や部品を取り扱う商社(大手商社)にはさほど大きな法改正ではないことも有り、現在は消費生活用製品安全法への注目度も下がっているようです。
一方では2009年施行の改正法での目玉である、長期使用安全点検制度に関わる製品および設備を提供する商社などでは関連企業を含めて整備を進めているところもあるようです。
製造業に関しては大手メーカーはいち早く取り組んでおり、事故製品や不具合がある場合は公式HPへの掲載も含めて熱心に取り組んでいるという状況です。
一方で長期使用安全点検制度の対象となる新製品の発売を中止する家電メーカーも出てきているなど、製造業への影響はかなり大きいのではないでしょうか。

 

※法令に関しては、専門家に問い合わせるなどし、当サイトのみの情報で判断しないようお願いいたします。